インタビュー:2024年10月
-引退されてからもう何年が経ちましたか?
一応、引退を発表したのが2020年の3月なので…。サッカー選手としては2019年までということで5年ですね。早いですね。
-引退されてからの5年間はいろいろとあったと思いまが、現在は何をされているのですか?
今は人工芝の施工の仕事をメインとしています。あとは自分でサッカースクールをやっています。また、2024年9月から地元でお店もオープンしました。
-ご活躍のようですが、まずは「人工芝の施工」というのはどのような仕事なのですか?
一般の家庭のお庭に人工芝を販売、施工する仕事になります。
-施工会社に勤めているのですか?
一応、今は個人事業主として請負でやらせてもらっています。昨年の春先からやり始めて、最初はその会社の社員さんについて技術を学び、半年後くらいからサポートについてもらってでしたけど、ようやく今は大きな庭でも一人で施工できるようになりました。
-そのお仕事はいかがですか?
人工芝はサッカーでも使っていましたし、実際に「庭で子供とサッカーをやりたい」という親御さんも多いので施工が完了するとご家族に喜んでもらえます。やりがいは感じていますね。50㎡の庭の施工で、だいたいの目安として1日仕事ですね。ただ下地処理が大変だともっと工期はかかりますけど人工芝を敷くだけなら1日ぐらいでできますね。
-人工芝を施工する上での難しさというのは?
技術的なことですが、やはりつなぎ目の処理がなかなか難しいですね。どうしてもつなぎ目の線が出てしまうので、そこをなるべく目立たないようにすることです。人工芝にもいろいろと種類があるので、施工する人工芝によって少し手法を変えたりしてやらせてもらっています。
-では、自宅のお庭などを人工芝へ思案中の方は加賀美さんにお願いすれば?
是非お願いします。スクールもメインとしてやっていますが、「稼ぐ」という意味ではこちらの仕事がメインですから懇切丁寧に対応させていただきます。ご依頼お待ちしています。
-サッカースクールのスクール名は?
「KGMS base+α」といいます。
-難しそうなスクール名ですが、どういう意味がありますか?
いや、難しくはなくて「KGMS」は加賀美サッカースクール、「base」は基礎基本、「+α」というのは武器という意味です。自分がエスパルス時代に基礎技術がなくて苦労しましたし…。それでも武器があったのでプロになれたと思っていますから、「基礎技術」と「武器」というのが大事ということを子供たちに伝えられればと思い、このスクールを立ち上げました。
-加賀美さんが子供たちと向き合う上でのモットーというものは?
今の年代、子供の頃に良い癖をつけてあげたいですね。やっぱり何でもそうだと思いますが基礎が一番重要であって、そこからいろいろなものを積み上げて行かなければいけないと。基礎がしっかりしていなければ、まあ住宅などが一番良い例ですが、それはサッカーでも同じだと思っています。ただ、サッカーの場合はちょっとやれるようになると基礎を飛ばして次のレベルに行きがちなのですよ。だから最初の段階でしっかりと基礎を身に着けることが大事だと思っていて、「今のパスはちょっとズレていたよね?」「ボールのどこの部分を蹴った?」とか、そういった細かな部分にまで意識づけ、拘りを持たせたいと思いますし、子供自身が考えてそれを発言させることも大事だと考えています。
外から見ていて練習が止まっている時間が長く感じたり、練習自体にスピード感がないように映るかもしれませんが、それよりもその部分を子供たちに分かってもらおうと思ってやっています。正直、基礎技術さえあればここから先はどうにでも成長して行けるかなと思っています。自分のように基礎技術がなくても何となくやれてしまい後から苦労するのは大変だし、かわいそうだし…。だから今のうちに土台をしっかりと作ることが将来的にも良いのかなと。中学、高校で更に成長ができるように小学生のうちに基礎をしっかりと教えたいと思っています。
-スクール生の対象というのは?
今は週3回小学生、週1回中学生を教えています。入会人数は今ようやく50人を超えたくらいです。その中で都合の良い日に練習に参加してもらうシステムなので、5人の日もあれば10人を超える日もありますけど、だいたい7、8人くらいですかね。小学生が月、火、木曜日の17時30分から1時間30分で中学生が19時から1時間30分やっています。
-実際に子供たちに教えてみた難しさというものは?
やっぱり、自分が言っていることが分かっていないだろうなと。どちらかと言えばまだそこまで上達していない子供たちなので、話を聞くことができないとか、考えて行動していないだろうなという子がいます。そこは少しもどかしいところですね。伝えたいことが上手く伝わらないという…。もう少し上達すると、ある程度理解して動いたり考えたりできるようになると思うのですけど、まだそこまで行けていない子供たちが多いので、思っているよりも練習が進まないということはありますね。
-小学生なので、気が散ることや集中力が持続できない子供もいるとは思いますが?
そうですね。サッカーはもちろん教えますけど、そういった部分もサッカーをやりながらトレーニングをしてもらえればと思います。正直、ウチのスクールは厳しいか緩いかと言われれば緩いと思っていて、ただその緩い中でも子供たち自身で練習のスイッチを入れると。やる時はしっかりとやる、休む時はしっかりと休むという切り替えの部分はいつも細かく言っていますし、それでもやれない子については指導するようにしています。そういう部分のメリハリというのは何においても大事だと思っていますので。
-今はサッカースクールが多く存在していると思いますが、加賀美さんのスクールの特徴というものは何でしょうか?
さっきも話しましたが、「基礎」を磨くことに特化しているスクールだと思っています。他のスクールは人数も多く全体の流れが決まっていてそれをみんなでやることが多いと思いますが、ウチは僕ともう一人のコーチの2人で見ることができるので、人数が少ない分、個人ごとのトレーニングができたり、個に対してのアプローチができたりします。「止める」「蹴る」「運ぶ」という基礎トレーニングの他に、ストライカートレーニングもやっていますので、その自分の強みを子供たちにアドバイスできるということです。
-そうすると基本的には試合などはやらずに基礎だけを教えていると?
そうですね。ですからある程度できる子がウチに来ても、その基礎トレーニングは物足りないのかもしれません。たまに来て基礎の部分のチェックを受けるには良いと思いますけど…。
-まだそこまで達していない子供たちが上手くなるための基礎を身に着けてもらうと?
そうですね。見ていても半年前よりも伸びている子もいますし、要領を理解すれば子供たちの成長のレベルというものは考えている以上に早いことを実感しますね。そういう楽しみというか喜びは感じられています。「自分が教えていることは間違っていない」ということは子供たちが証明してくれています。まあ、練習に来る子が少ない時にはマンツーマンで教える日もありますからね。
-手応えを感じられていると?
スクールを開始して1年くらいになります。まだまだですけれど、さっきも言ったように上達している子も確実にいますし、僕が言うことを少しずつですがみんなが理解し始めてくれて、練習も楽しくやってくれているように思いますから手応えは十分に感じられています。
-なぜサッカースクールを立ち上げようと思ったのですか?
やっぱりサッカーが好きだからですかね。自分が子供の頃からプロ選手にまでなって、でもプロでは結果を残せなくて…。それでもやっぱりサッカーが好きなのですよ。でも最初は、自分は人に教えるということは向いていないかなと思っていました。エスパルスのスクールにもたまに顔を出して、子供たちとボールを蹴るのも楽しかったのですが、それをしっかりと教える、指導するというのは自分には無理だろうなというのがありました。ただ、引退してからいろいろな仕事をする中で、2020年の新型コロナウイルスが流行したために上手く仕事ができなくなってしまった時に「やっぱりサッカーから離れられない」というのに気付いて…。じゃあ何をやるかとなった時に、自分が一番苦しんだ部分、これからの子供たちにはそういう思いをさせたくないなということがあったので、まずそこを考えたスクールを立ち上げようということで始めました。
-今日の練習を見学させてもらって子供たちが楽しそうに取り組んでいるなと感じましたが?
そうですね。小学生の低学年はまずはそこかなと思います。本当にサッカーらしくなるのはまだまだ先なので、まずは「ボールを蹴るのが楽しい」ということで良いのかなと。その中でもしっかりとした基礎は身に付けるというようになればと思っています。僕の役目というのはそれぞれに合ったアドバイスをしてあげるということが大事だと思います。
-1時間30分の練習時間というものはいかがですか?
なんだかんだ1時間30分が子供たちの集中力の限界だと思います。長くても2時間かな…。その中で内容の濃い練習をするというのが理想です。今は鷹岡中学校を借りて練習をやっているのですが、照明の利用時間も17時から19時という枠で借りています。あと地域の方から19時以降に子供を外出させるのは望ましくないという話もあって…。なかなか難しい時代なので仕方がないのですが、正直17時30分からというのは送迎していただいている保護者の方の都合もあったりして集まりにくいですね。照明は19時から21時枠もあるので2枠利用しても18時30分からにした方がもっと子供たちも集まることができるのかなとは思っていますので、将来的にはそのようにして行ければと思っています。
続く